山×

□僕地獄
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「は…?」


そんな、土方さんの狼狽えた声が聞こえ立ち止まる

こっそり近づくと、
新八くんとチャイナ娘が来ている

万事屋の旦那が居なくなったと捜索願を出していたが、
旦那に何かあったのだろうか


「万事屋が死んだ…?」


旦那が死んだ?
そんなこと、あるのだろうか

いや、旦那だって人間だ、いつかは死ぬときがくる  

でも、悪いけど俺はアンタが死んだことより、土方さんの方が心配だ

旦那と土方さんの関係は知っている
だから、土方さんが受けるショックも、予想がつく


「銀ちゃん…」


チャイナ娘の声で土方さんが我に返る

ぎゅっと拳を堅く握り、
無理矢理自分を落ち着かせている


「何しけた面してんだよ
あいつがんな簡単に死ぬわけねぇだろ」
「土方さん…」
「それに、てめぇら残して居なくなったりしねぇよ
そんな無責任な野郎だったらとっくに俺が叩き斬ってらァ」
「でも、」
「殺しても死なねぇような奴だ、
きっと何事もなかったようにケロッとしてあの間抜け面引っさげて帰ってくるさ」


二人を勇気づけるように言う

でも、本当はそれを自分自身に言い聞かせているのだ

泣きたいのを、必死に堪えて


二人が帰ったのを見計らって土方さんの後ろに立つ


「山崎」
「はい」
「万事屋の死因を調べてくれ」
「何か関係が?」
「ああ、今の──…」
「副長?」
「いや、個人的な頼みだ
断ってもいいぞ」
「…いえ、お調べします」


旦那、死なないで下さいよ
死ぬなら死ぬで、死体くらい残して下さい

じゃないと、あの人の中でアンタは永遠の物になってしまうから


「…銀時」


小さく呟く声、抱きしめてしまいたい

嗚呼、きっと
旦那が死のうが帰ってこようが、

俺には地獄しか訪れない


ねぇ、せめて

旦那の居ない今だけでも、
俺にアンタを護らせて


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