万×

□Secret Cinderella
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合い鍵を使って中へはいる

河上は表の仕事で急用ができたらしく、
今は留守だ


「っと、服は…」


それらしき物は見当たらない

奥の部屋を探しても、
服はあの女(お通といったか)の衣装らしき女物の着物しか見あたらない

あの女のイメージではない気もするが


「ただいまでござる、土方殿」
「ああ
河上、服は?」
「これでござる」


河上が指したのは今俺が見ていた女物の着物


「いやいや、女物だよな?」
「そうでござるよ」
「え?いや、おかしいだろ!?」
「そうでござるか?
昨日変装すると…」
「言った!確かに言ったけど、
何で女装!?」
「男二人で泊まりなど、妖しいであろう」
「た、確かにそうだけど…」


用意されてる着物を見る

言われてみれば俺にぴったり合うサイズだ


「背が高すぎるだろ」
「そこは少し足を曲げて歩いてくれれば大丈夫でござる」


こんな風に、と河上が歩いてみせる

確かにそれなら対した違和感はない歩き方だし、
花魁のように歩けば女っぽく見えなくもない

だがしかし、俺のプライドというものがある
第一、知った顔に会えばばれるだろ
一般人でも顔が知られてるんだし、

そもそも女に見えないだろ


「大丈夫でござるよ」
「…お前はどうすんだよ」
「拙者も着替えるでござるよ」


コイツは顔が世間には知られていないからそこまで心配はないが、

警察関係者ならわかるだろう


「でも、」
「一度でも良いから2人で堂々とデートしてみたいのでござる、

お頼み申す、土方殿!」


何やかんやで断れない俺の性格がこの時は本当に嫌になった

何やかんやで、
潜入操作のときの着付けのお陰もあり難なく着れてしまい(馬鹿に手伝いを申し出されたが拒否した)、

俺はその格好で嫌々ながら河上の前に出たのだ

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