短編

□最初の話
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私は無理矢理ベットから起こされ、ソファで男の腕によって無理矢理拘束されている。
男は何気なくテレビをつけた。
ちょうど、午後のニュースが始まった。

『速報です。今日の午後二時頃、アパートの一室で大量の血痕が発見されました。
被害者は、このアパートの住人である女性と見られており、現在、行方不明で、捜索中の模様です。
警察によりますと、犯人は長時間現場にとどまっていたとみられ、寝室は物色された痕跡が確認されています。
警察は、これまでアパート内に凶器が見つかっていないことなどから、容疑者不明のまま自宅の捜索に入りました。
また、警察は被害者の女性が交友関係などでトラブルを抱えていなかったか、関係者からも事情を聞いています』

被害者の顔、名前が発表される。
そこには、私自身が流れていた。
「なんで…」

男の腕を振り払い、立ち上がって男から距離を取ろうとしたが、急にキィーンと耳鳴りが響き、頭がふらふらして立っていられない。
床に倒れると、男が慌てて私を抱き上げた。
大丈夫?、大丈夫?、大丈夫?、大丈夫?と煩い。

「ごめんね。さっきキミが寝ている時に少し血液を貰ったんだ」
眩暈がする。
「キミの血液をゆっくり抜いたんだ。キミの身体の3分の1、つまり1.5リットル程ね」
「どう、し、て」
「どうして?世間でのキミを殺して、ボク達だけの世界で一緒に生きようと思ったんだ」
「な、ぜ」
「なぜ?そんなの決まっているじゃないか」

「キミを愛しているからさ」
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