今日も明日も明後日も

□バカップルの片鱗
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「いや〜ここまで長かったよ。
親方の所に弟子入りしてからずっと包丁も握らせてもらえない下働きの生活。毎日、寿司を握る親方の手元を盗み見てはシャリの握り方の練習してよう…ようやくこの支店を預からせてもらえるようになった。今度こそ、やるよ俺ァ。」

「よっ!長谷川店長!!」

 なんて寿司屋のカウンターに座った隣の妙が掛け声をかけるが、その後、かっぱ巻きしか回ってこないことにキレた伊織を除く万事屋三人に殴られ蹴られる目の前の長谷川と呼ばれたサングラスの男。

伊織は静かに事の成り行きを見守るに努めた。

なんでも親方が事故で入院したため、急きょ長谷川に店を任せたが頼みの綱の寿司マシーンが壊れてしまっているらしい。
一緒に来ていたからくり家政婦のたまが機械と対話して修理できるとのことで任せてみるも、見るも無残な姿に壊れてしまった寿司マシーン。

開店時間も迫り、接客のプロであるお登勢とキャサリンにカウンターを任せて自分たちは裏方で寿司を握る作業に駆り出された。

一旦、服を着替えて厨房へと集まる。

「す…すまねェ、みんな。こんなこと手伝わせることになっちまって。」

 素直に謝罪する長谷川に、ずっと傍観していた伊織は彼が悪い人間ではない事を知った。嘘は吐くけれど。




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