今日も明日も明後日も
□2人で1つなんてどこのバカップルですか
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銀さんがここの所、毎晩ベロベロになるまでお酒を飲むことが多くなった。
それは、外であったり、家であったり。
昨日も例外なく家で飲み明かしたようで、出勤した瞬間事務所の酒臭さに僕は眉を寄せた。
ソファーでぐーすか鼾をかいている銀さんを叩き起こせば、頭痛いだの、気持ち悪いだのとうんうん呻るけれどそんなの知ったことじゃない。
「新八ィ、俺ァもうだめだ…後のことはよろしく頼む…」
「ちょ、二度寝しないでくださいよ!今日はこれからお登勢さんのところに行かなきゃけないんですから!」
「ばばぁのとこに?なんでだよ」
「さっきここ来る前に会ったんですけど、とにかく銀さんが起きたら1階に来いって言ってました」
「なんだよ、めんどくせぇな。ぉえっぷ…ちょ、まじで吐きそうなんだけど…」
「自業自得ですよ。ほら、早く行きますからちゃんと顔洗って支度してきてください」
「行きたくねー…、オメェは俺の母ちゃんか」
グダグダ言いながら事務所を出ていく銀さんが戻ってくる間に、机の上に散らかった缶やゴミを片付けていく。
「…新八、伊織見つからないネ。このままだと銀ちゃんがどんどんダメな大人になるヨ」
「いや、あの人元々ダメな大人だけど。そうだね…あんなに毎晩浴びるようにお酒を飲むようになったのってやっぱりあれが原因だろうけど、誰に聞いても伊織さんの居場所に直接つながるような情報も入ってこないし…」
伊織さんが結婚するということを知らされて、やっぱり平気ではなかったということだ。
唯一、何か知っていそうなのはあの時銀さんにとび蹴りをかました女性だけで。
何とか彼女が働く甘味屋を見つけて会いに行ってみたものの、伊織さんの居場所までは知らないようだった。
ふりだしに戻った捜索に神楽ちゃんとため息を吐く。
「おーい、行かねえのかー」
「あ、はい、今行きます。ほら、神楽ちゃんも行くよ」
「‥‥‥」
黙ってついてくる神楽ちゃんは、銀さんのことを本当に大切な家族だと思っているんだろう。
もちろん僕もだけれど、いつも銀さんは僕たちを護ってばかりで…早く、銀さんが本当の意味で気を抜ける場所を作ってあげたいと思うんだ僕たちは。