今日も明日も明後日も
□真選組監察の観察
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「あ"?なんつった?」
「――…いやあの、頼まれてた攘夷浪士の居場所がわれました。奴は明日にも潜伏先を売り払うつもりらしいです。今夜にでも御用改めを…」
「…チッ…おう、じゃあ隊士全員に召集かけろ。一分以内な。」
舌打ちしたーッ!しかも一分以内なんて絶対無理…
「はい、三十秒経過ァー」
「ぎゃああああああ!オメーラァァァ!一分以内に大広間に集合だァァァァァ!!」
俺は山崎退。武装警察真選組の監察だ。
日々副長にこき使われ、観察というよりもパシリ状態の俺は毎日のように理不尽な扱いを受けている。
さっきも副長から言い渡された任務の報告をしただけなのに舌打ちされる、という本当に理不尽な反応に泣きたくなった。
挙句の果てには一分以内に隊士全員集めろなんていう無茶ぶりだ。
これが泣かずにいられようか…。
ちらり、と刀を抜き始めた副長を見て、急いで廊下に出ると屯所中に響く大声で叫びながら走った。
「――それにしても…」
なんだか今日の副長はやけに虫の居所が悪かったような気がする。
部屋に入った時はそうでもなかったのに…。
監察という職業柄、そういう人の変化には敏感に反応しているつもりだ。
「――……各隊長の指示に従い、一番隊、三番隊、六番隊、十番隊は四時間後に集合しろ。遅刻した奴ァ、切腹だ。気ィ抜いた奴は俺が直々に介錯してやらァ。」
わかったな。と刀を取り出す、上座に座る副長にその場にいる隊士は全員唾を飲みこんだ。
その瞳はいつもより鋭さが増している。
「やっぱ、副長もこの大捕り物を前にして鬼気迫ってるな。」
「おお、俺…やっぱあの人の部下でよかったよ。」
――だよな。やっぱり副長スゲーなぁ。
…なんて、まわりの隊士は興奮しているけど実際、今日の副長はそんなのじゃないように思う。
憶測ではあるけれど。
それが、憶測ではないことを知るのはすぐの事だった。