今日も明日も明後日も
□悪夢はきっかけに過ぎない
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『銀さん、私はもうあなたと一緒にいられない…』
「…伊織?なに、言っちゃってんの?冗談だろ?」
夕暮れの万事屋事務所。
夕日が障子越しに室内へと差し込んでいるなか、私と銀さんはソファーにも座らずに向かい合ったまま言葉を交わす。
『これ以上、あなたの傍にいれば…私は…、ごめんなさい――…』
「ッ伊織!」
見たこともない銀さんの顔。
ついこの間、ずっとそばにいると彼に言ったばかりの私の口は言いたくもない言葉ばかりを彼に告げる。
『あなたを、殺したくない。お願いだから、私のことはすべて無かったことにして前の生活に戻って。』
「冗談じゃねえぞッ!なに勝手なこと言ってんだ。お前が何を言おうが、俺はお前を手放すつもりなんてねーからなッ。」
『……――そう。…じゃあ、仕方がない。』
ぎりっ、と拳に力が籠る。
…いつの間にか手には真剣が握られていた。
私はためらいもなく、目の前の彼にソレを向けると大きく一歩を踏み込む。
『…っ、ど、して……ぎんさんっ、』
「伊織に、斬られんならっ、――…べつに、かまわねーと思っ、た…」
『そ、んな…っ』
目の前の血だまりに倒れ込むのは紛れもなく彼…。
きっと助からない。
だって、斬ったのは私だから…。
「くくくっ、殺ったか。これじゃ、確実に助かんねェな……よくやった伊織。
さすが――だ。」
『……。』
「だが、とどめがまだだ。早くしろよ。
…―なんだ、できねェのか。じゃあ、俺がやってやるよ。」
『待っ…、ッ――!』
いつかの雨の日に出会った男が、いつの間にか隣に立っていた。
呆然とする私の代わりに腰から抜いた刀で銀さんの首を…ごとり、と
『ぁ、あ…あ、あああああああああああああ!!』