今日も明日も明後日も
□大人は思ったよりも子供だ
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『銀さん、朝だよ。』
「…んー…まだ…」
万事屋生活も早くて三週間経った。
万事屋などという怪しい仕事ゆえか、この三週間まともに依頼もなく…店主は昼前まで惰眠をむさぼるという自堕落な生活を続けている。
そのおかげでこの万事屋の家計は今にも破綻しそうだ。お登勢さんの話によると家賃もろくに払えていないらしい。
見た目はやる気がなさそうに見えたが…やはり実生活もそうであるようだ。
ちなみに、坂田さんという他人行儀な呼び方は一緒に生活するうえでおかしいだろうという事で初日の夕食の際に銀さんへと変わった。
『ほら、銀さん。今日はやっと仕事が入ったんだからちゃんと起きて、朝ご飯食べて。』
「ぁー、…そうだっけ…、」
『仕事終わったら団子でも作ってあげるからさ。真面目に仕事してきてください』
「まじか。よっしゃ、ちゃっちゃと終わらせて帰ってくるわ」
『ほんと、現金だな…』
よっこらせ。と、若干おじさんくさくソファーから勢いよく起き上った銀さんはいつもよりきびきびと洗面所へ向かって行った。
毎日あんな感じならいいのに…と深くため息を吐いた事に銀さんは気づかない。
「んじゃ、ま、行ってくるわ。団子よろしくな。」
『はいはい。早く帰ってくるのは良いけれど、しっかり仕事こなしてきてくださいね。』
「わーってるよ、おめーは俺の母ちゃんか。」
『いってらっしゃい。』
「おう、いってきます。」
片手をあげて照れくさそうに返事を返した銀さんはそのまま仕事へと出かけて行った。
今回は屋根の修理なのでそれほど難しい仕事でもないだろう。夕方には帰ってくるはずだ。
それまでに洗濯や掃除と買い物、あと団子も作っておかなければ。と頭の中で整理する。
基本、私は万事屋で待機だ。
銀さんが仕事で出てしまった後に依頼の電話がかかってくるかもしれない為であり、この苦しい家計を少しでも仕事をとって楽にしたいからである。
けれどどうしても出かけなければいけない買い物は、極力少しの時間で済ます。
『よし!』