今日も明日も明後日も

□銀は暗がりで見ると白に見える
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 拝啓

父さん、母さん。
お元気でしょうか。私は相変わらず元気です。
父さんの反対を押し切り家を出て、早2日…江戸へと到着しました。
空には天人の船がたくさん飛び交い、街にはターミナルを中心とした大きな建物がたくさん建っていて人々は活気に溢れています。
今日からここが私の住む場所になるのかと思うとわくわくするのです。

…けれど、やはりこんな都会に慣れない私にとっては本当に未知の世界で…この歳になってやらかしてしまいました。
――そう、迷子です。
薄暗い路地裏でさ迷い歩くホームレスのように(いや、実際まだ住む所も決まってはいないからホーム・レスだけれど)大通りへの道が分からないのです。

けれど、これはすべて私が決めた事であります。弱音など吐いている暇はありません。
これは私に最初に課せられた試練!伊織は立派にやり遂げて見せましょう。
さっそく、路地裏の出口を探す為、私は立ち上がるのです。

では。お父様、お母様、またお手紙を送りますので、それまでどうかお元気で。


敬具



 
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