今日も明日も明後日も

□暑さも2人で分け合えばにぶんのいち
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ふと、視界の端のあるものに気づく。

『あ…』

 赤地に白い桜の花びらを染め抜いたようなシンプルな日傘。
いいな。と、思った。

けれど、万事屋の経営状態を考えると手を出せるものではないのは当たり前で…。
これ以上見続けると本当に欲しくなるのですぐに目をそらした。

「アレ買わねーの?」

『いい。買えないもん。』

「欲しいんだろ?」

 それでもめざとく銀さんは私の様子に気づいたようで、スタスタと歩き出した私に問いかけてくる。

「なあ、今日はパフェ食べに行こうと思ったからよ。ちょっと金持って来てんだけど、欲しいんなら買うぜ?」

『……。』

「何その顔。」

 この世の終わりを見たような顔になってしまった。

だって、あの銀さんがパフェを我慢して日傘を買ってくれようとしているんだ。これは、何のドッキリだろう。あれか、裏があるとしか思えない。でも…

『銀さん、日傘はパフェが食べれるぐらいの値段じゃ買えないんだよ?』

「……。チクショォォォォ!
人がせっかくカッコつけたのに、なんだこの無駄な恥ずかしさはッ!」

『まあ、でも。ありがとう。』

「……。」

 ニッコリと、上手に笑えているだろうか。
格好はつかなかったけれど、銀さんのその優しさに顔面が崩壊しそうになるのを必死に抑えた。



 
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