四天宝寺バトテニ 短編
□殺す事なんて、出来ない。
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そう言う白石は、ガクガク震えていた。
「目の前が千歳の血で真っ赤で……。怖くてたまらんかった。そして、話しかけてきた人を恐れて…皆…殺した。」
「だから…俺も殺そうと……。」
俺は、寂しい顔を少し白石に見せた。
「俺は……絶対に仲間を殺さへんよ。そんな酷いことは…絶対にせぇへん!!もっと……俺の事信じろや。」
そして俺は、ゆっくり白石に微笑んだ。
「……そうやな。良く考えれば、謙也にはそんな勇気なかったな。」
「あほ。そんな勇気、いらへんわ。」
人を殺すための勇気なんて、ない方がましや。
「謙也…ごめんな。」
「……ええよ。俺、生きてるし。」
「違うんや。そのことやない。」
「??なんのことや??」
白石は下を向いて、悲しい顔をした。
「俺は……お前が大切にしていた……後輩も殺してしもたー…。」