×4!!〜

□36.意趣返し、開闢。
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5月2日 池袋某所

「折原臨也の女だな?」
大学の講義が午前中で終わり、駅に向かうまでの道のりに、その男は現れて、私に向かってそう言った。
「…人違いじゃないですか。折原臨也なんて知りません」
「あぁ?しらばっくれてんじゃねーぞ手前ェ。コッチはもう知ってんだよ。お前が折原臨也の観察対象で、あの平和島静雄が唯一心を許してる女だってなぁ」
……?
どうやら彼は、大きな誤解をしているようだ。
と言うか、何処情報なんだ、その根拠のない話は……
「だから、人違いじゃないですか。きっと顔の良く似た別人ですよ」
「こちとら手前ェの顔写真も持ってんだよ。間違える訳ねーだろうがよぉ」
顔写真?
一体誰がそんなものを…?
「…誰から聞いたんですか、その話」
「あぁ?別に誰でもいいだろうが。俺ァよぉ、折原臨也って野郎のせいで彼女失ったんだよ。あの野郎、俺の元カノの携帯壊しがって……許せねえ」
そんなの私の知ったこっちゃない。悪いのは臨也さんじゃないか。
「だから俺は決めたんだよ。手前を使って折原をぎゃふんと言わせてやるってな!」
そして、男は私を路地裏に連れ込み、私の頬を思い切り殴った。
「っ……!」
反応し切れなかった私は、堅いアスファルトに倒れ込む。
じわり、と口の中に鉄の味が広がった。
動けなくなった私を、男は肩に担ごうとする。
「ゃ…めて!嫌っ!助け…んぐっ!」
ああ、やっぱり昔みたいにナイフは持ち歩くべきだったかな。
ぼんやりとそんな事を考えながら、私は必死で声を出したが、男に猿轡(さるぐつわ)をされて、声が出せなくなった。

その時だ。
「お前今、女を突き飛ばしたな?」
背後で凛とした声がした。
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