Confusion!!

□18.束の間の快楽
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ある日の放課後、私は来良総合病院にきていた。
理由はただ1つ。
杏里ちゃんのお見舞いに行く為だ。

ロビーで杏里ちゃんのいる部屋を聞き、病室へと向かう。
途中で思い詰めたような顔をしている紀田君に会った。
「紀田君?」
俯きながら私に気が付かずにすれ違おうとする彼に声を掛けると、紀田君は少し驚いたようだった。
「え!?あれっ?珠音さんじゃないっすか!杏里のお見舞いですか?」
「うん、そうそう。杏里ちゃん、どんな様子だった?」
「今日も杏里はエロ可愛かったですよ!あ、まだ帝人は病室にいます!んじゃ、俺は用事があるんで!またね、珠音さん!」
「あ、うん、バイバイ」
嵐の如く去って行く紀田君を見ながら、私は彼に手を振った。
そして、先ほど紀田君が暗い顔をしていたように見えたのは気のせいだったのだろうと思い直し、私は杏里ちゃんの病室へと再び歩を進めた。

杏里ちゃんの病室に着き、中へ入ろうとした時、部屋の中からこんな会話が聞こえてきた。
「園原さんって、好きな人とかーいるの?」
「うーん……あこがれてる人なら、いますよ?」
帝人君と杏里ちゃんの声だ。
何と無く邪魔しちゃいけない雰囲気だったので、私は2人の姿を視界の端に少しだけ捕らえた後、元来た道を引き返した。

そして私は、ある病室の前を通り過ぎようとした時に、黒ずくめのファーコートの男とばったり遭遇する。
「え……?い…臨也さん……?」
臨也さんも私を見て少し驚いたようだった。
「あれ、偶然だねえ。園原杏里ちゃんのお見舞いかな?」
「はい。臨也さんも…誰かのお見舞いですか?」
「うん。ああ、良かったら会ってみるかい?」
「え?」
臨也さんは今自分が出てきたばかりの部屋の扉をガラッと開け、私を中に案内する。
部屋の中には、1人の少女がいた。
「あれ?臨也さん、どうしたんですか?」
少女は臨也さんに尋ねた。
「この部屋を出たら、丁度俺の知り合いがいたから、君に紹介しに来たんだ。沙樹ちゃん、この人は愛峰珠音。珠音、この子は三ヶ島沙樹ちゃんだよ」
私は、臨也さんの紹介を受けて、彼女ー沙樹ちゃんに挨拶をする。
「初めまして沙樹ちゃん。宜しくね」
「はい、珠音さん、宜しくお願いします」
そう言って沙樹ちゃんはにっこりと微笑(わら)った。
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