Confusion!!

□8.開幕
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「折原さん、今日もまた池袋に行くんですか」

翌日。
私は朝食のクロワッサンを頬張りながら折原さんに尋ねた。

「んー、そうだねぇ。俺は池袋に用事があるから行くけど……君はここに残っててもいいよ。…あ、そうだ、もしここに残るならさ、ちょっと頼みたい事があるんだけど」
「私は特に何の用事もないので、頼まれてあげても良いですよ」
「……ッハッ、何その言い方。珠音ってもしかしてツンデレ?」
「…折原さん、一発殴らせて下さい」
「おー、怖い怖い」

あぁ、疲れる……
本当に彼は人間の神経を逆撫でする男だ。
私は大きな溜息をつくと、最後に皿に何個か残ったミニトマトを頬張りながら、「それで、何をすればいいんですか」と尋ねた。

「そこにある書類ーアレ、ページがバラバラになってるからさ、順番通りに並べて、それをあの棚の箱の中に入ってる封筒に入れておいてくんない?あ、封筒の表にはこう書いといて」

そう言って折原さんはメモ帳とボールペンを取り出し、そこにサラサラと何かを書いて私にメモを差し出した。
そこには『矢霧製薬 第六開発研究部主任 矢霧波江様』と書いてあった。

「解りました」

私が言うと、折原さんは「ああそうだ」と言ってポンと手を叩いた。

「その封筒に書類を入れたら、俺の郵便受けにその封筒入れといて。多分誰かがその封筒取りに来るだろうから」
「了解しました」
「それとさ、」

何だ、まだあるのか。
私は内心げっそりとする。

「君、ミニトマト嫌いなの?」
「…は?」

予想外の事を聞かれ、私は素っ頓狂な声を上げる。

「ほら、だってさっきからミニトマト食べる時、ちょっとだけ嫌そうな顔してるじゃないか。だから嫌いなのかなぁと思って。……っていうか、何で君が朝食作ってるのに、君自身が嫌いな物を入れるのさ?やっぱり珠音はそういうとこズレてるよね」

……この人は本当に何でもお見通しだ。
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