和稀...dream....
□幸運
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智也「ちょっ、おいどこ行くねん、王将は?」
「悪いともやん、パス!!!ほな!!」
電話を切るとすぐ、ギターをかついでスタジオを飛び出した。走って向かう。
あの子が、俺を待ってる。
指定された場所に行くと、名無しさんちゃんがいた。俺に気付くと駆け寄ってきた。
「和稀さんっ」
「名無しさんちゃん、どうしたん……ですか?急に助けて欲しいなんて」
「タメ口でいいです、和稀さん年上だろうし………あの、お願いがあって」
「えっ、なに?」
「………"私の好きな人"になって欲しいんです」
「………どういうこと?」
名無しさんちゃんが説明し始めた。彼氏のこと、別れ話のこと、俺に頼るしかないこと。
「涼平さんには、一応、まだ友達って言ってあるんですけど、和稀さんも私に気がある風にして欲しいんです。そうしないと、諦めてもらえない気がするから」
「…………うーん、なんかよくわかんないけど、わかった!協力する」
「ありがとうございます!あの、涼平さん待たせると悪いんで、いいですか?」
「おうっ」
気がある風、ってのはちょっとツッコミどころあったけど、まあ今はいいか。