*SS置き場*
□無邪気に…
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***
「あ…」
「あ!」
休日、道端で沖田さんに偶然出くわす。
私は足を止めてじっと沖田さんを見つめる。
沖田さんもまた足を止めて私を見つめる。
一歩、二歩…ゆっくりと二人の距離が縮まる。
「みかさん、こんな所で出会っちまうとは…」
沖田さんは私をじっと見据えたままでいる。
「そうね、出会ってしまったものは仕方がないよね…」
お互い見つめ合ったままでしばらく立ちつくす。私の心臓が、とくん、と音をたてる。
『せーの、』
二人の声が重なる。
『最初はグー、ジャンケン、ポン!!』
「アァーーー!!」
「っしゃ!!」
勝負は一度きり。
「私の勝ちなんで、そこの団子屋でみたらしとあんこのお団子買ってきて下さいね。」
「クソッ、負けちまったモノは仕方ねェ。わかりやしたよ…」
そう、
偶然でも出会ったら勝負。
負けたら奢り。
「みかさん、そこの団子屋って…向こうの団子屋のことですかィ?」
沖田さんが遠くを指差して言う。
「うん。そこの団子屋ですよ。」
「チッ。次は、負けませんぜ?
」
ポケットに手を突っ込み渋々団子屋へと足を運ぶ沖田さん。
私はここで待っていますからね。
***
「ずいぶん仲良しだなァ?」
土方さんは座ったまま私をじっと見つめる。
目が、目が…半開きですよ?
「ルールですから仕方ないんです。ちなみに私が3連勝中です。」
「やっぱり、総悟は叩っ斬ってやる!!」
「なんでですか!!」
「みか、総悟を可愛がりすぎじゃあねェか?」
「そうね、かわいがり です。」
私の笑みを見るなり土方さんは固まり黙りこくった。
「土方さんもかわいがって欲しいんですか?」
にじり寄る私に後ずさる土方さん。
後ろはもう壁ですよ?
開いた足の間に膝立ちをして壁に手を付き逃げ場をなくす。
耳元に唇を寄せて私は囁く。
「可愛がって欲しいの?」
「別に、俺は…」
ふーん。
私はつまらなくなり距離を戻して座り直す。
しらふでは襲えません!
ああ、でも…
土方さんはそんな私をじぃぃぃっと見ている。
「なに?」
「人を煽っておいて、なに?とはなんだ。」
今度は私ににじり寄る土方さん。
後ずさるのは私。
トン、と背中が壁に触れる。
「構って欲しいのは、みかお前のほうだろ?」
下顎をもたれて、くい、と持ち上げられる。
あ…
瞬く間に浸食されて私は土方さんに染まる。
「みかを可愛がっていいのは俺だけだ。」
はい。
***