*SS置き場*

□雪予報
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***


「ねぇ、今晩雪が降るんだって。」


先にベッドに入っている私は土方さんを見上げる。


「どおりで寒いわけだな。」


湯上がりにベランダでタバコを吸っていた土方さんは、冷たいからだで布団に潜りこんだ。
私は土方さんに寄り添い左腕にしがみつく。


「みか…あったけェな。」


土方さんの冷えた手のひらに指先を絡ませて繋ぐ…
肩に頭をのせるとこちらを向いた土方さんの吐息がかかる。

ちゅっ 

軽くキスをされると逆に恥ずかしいの知ってる?
ゆっくりと啄むようなキスを何度も繰り返され、それで、終わる。


おやすみなさい…


私は寄り添ったまま眼を閉じる。


もう寝ちゃったかな?


寝付けなくてうっすらと眼をあけると土方さんは私を見ていた。


「みか…」


薄明かりのなか、優しい眼差しで囁くように私の名前を呼ぶ。


「なぁに?」


「呼んだだけだ。」


「トシぃ…」


「なんだ?」


「呼んだだけ。」


じゃれあう言葉はお互い甘く絡み合い、どちらともなく唇を寄せ重ね合わせる。深く絡み合うその行為は、次第に熱を帯びお互いを貪り求め合う。
夜はまだ始まったばかり…






「通い……妻?夫?」


しっとりと汗ばんだ土方さんの胸に埋めて寄り添う。


「ああん?」


「いつもきてくれるじゃない。」


時々しか逢えない休みの合わない私達、いつも土方さんは忙しい合間を縫って時間をつくって来てくれる。


「平安時代は男が女の元に通ったんだ…口説くために和歌をしたため足繁く何度も。」


「うん?」

 
「俺がお前を口説く前に俺たちは始まっただろう?だから…」


「だから…?」


私は顔を見上げる。


「俺は、お前を口説きにきてるんだよ。逢えない間にみかが他の男を好きにならないように…」


自分で言っておいて赤くならないでよ…
そんな土方さんに私はキュンとする

口説く必要なんてないよ、私はあなたしか見えていないから。


寄せてくる唇は私を求めて貪る。

熱を与えられた私はもう貴方でいっぱい。外の寒さなんてわからないくらいに熱くとろけている。


「みか、熱くてとろとろ。寒いから俺をあたためろよな?」


指でかき混ぜられると私は熱に浮かされたように狂う。

ねぇ、それ何回めの口説き文句?
私は何度でも貴方を受け入れる。




うっすらと夜が明ける頃、カーテンの隙間から外を覗いて土方さんは言った。


「雪、降らなかったみてェだな。」


ひんやりとした腕を布団に潜り込ませ、私を抱き寄せる。


「お前が溶かした?とか」


そんなわけないじゃない。

***

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