*SS置き場*
□雪予報
1ページ/1ページ
***
「ねぇ、今晩雪が降るんだって。」
先にベッドに入っている私は土方さんを見上げる。
「どおりで寒いわけだな。」
湯上がりにベランダでタバコを吸っていた土方さんは、冷たいからだで布団に潜りこんだ。
私は土方さんに寄り添い左腕にしがみつく。
「みか…あったけェな。」
土方さんの冷えた手のひらに指先を絡ませて繋ぐ…
肩に頭をのせるとこちらを向いた土方さんの吐息がかかる。
ちゅっ
軽くキスをされると逆に恥ずかしいの知ってる?
ゆっくりと啄むようなキスを何度も繰り返され、それで、終わる。
おやすみなさい…
私は寄り添ったまま眼を閉じる。
もう寝ちゃったかな?
寝付けなくてうっすらと眼をあけると土方さんは私を見ていた。
「みか…」
薄明かりのなか、優しい眼差しで囁くように私の名前を呼ぶ。
「なぁに?」
「呼んだだけだ。」
「トシぃ…」
「なんだ?」
「呼んだだけ。」
じゃれあう言葉はお互い甘く絡み合い、どちらともなく唇を寄せ重ね合わせる。深く絡み合うその行為は、次第に熱を帯びお互いを貪り求め合う。
夜はまだ始まったばかり…
「通い……妻?夫?」
しっとりと汗ばんだ土方さんの胸に埋めて寄り添う。
「ああん?」
「いつもきてくれるじゃない。」
時々しか逢えない休みの合わない私達、いつも土方さんは忙しい合間を縫って時間をつくって来てくれる。
「平安時代は男が女の元に通ったんだ…口説くために和歌をしたため足繁く何度も。」
「うん?」
「俺がお前を口説く前に俺たちは始まっただろう?だから…」
「だから…?」
私は顔を見上げる。
「俺は、お前を口説きにきてるんだよ。逢えない間にみかが他の男を好きにならないように…」
自分で言っておいて赤くならないでよ…
そんな土方さんに私はキュンとする
口説く必要なんてないよ、私はあなたしか見えていないから。
寄せてくる唇は私を求めて貪る。
熱を与えられた私はもう貴方でいっぱい。外の寒さなんてわからないくらいに熱くとろけている。
「みか、熱くてとろとろ。寒いから俺をあたためろよな?」
指でかき混ぜられると私は熱に浮かされたように狂う。
ねぇ、それ何回めの口説き文句?
私は何度でも貴方を受け入れる。
うっすらと夜が明ける頃、カーテンの隙間から外を覗いて土方さんは言った。
「雪、降らなかったみてェだな。」
ひんやりとした腕を布団に潜り込ませ、私を抱き寄せる。
「お前が溶かした?とか」
そんなわけないじゃない。
***