マヨネーズ王国の入り口
□花より団子より酒
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今日は、毎年恒例行事となっている真選組のお花見に同行させてもらうことになった。
私は張り切って、前日から下拵えをし気合いを入れてお弁当を作った。
「オイ、山崎ィ〜、今年はちゃんと場所取りしただろうなァ?」
トシの声を聞くなり、素振りをしていた山崎さんの後ろ姿が硬直している。
「………」
「山崎ィィィィィ!!!!!」
チーン
山崎さん、死亡フラグだ…
私がトシにしばかれている山崎さんに手を合わせていると、
「あ、みかちゃんじゃない!!こっちで一緒にお花見しない?」
後ろからする聞き覚えのある声に振り向くと、のんちゃんとお妙ちゃんが手を振っている。銀さんや新八くんや神楽ちゃんもいるので、万事屋さんのお花見ですね。
「アラァ〜みかちゅわんじゃなァ〜い?こっちで一緒にお花見しなァ〜い?その弁当も一緒にさァ〜。」
あは、あははは。
銀さんが裏声を使ってお弁当を狙っている。
すでに酔ってますね?
てか、新八くん?君、タッパー持ってスタンバっていませんか??
銀さんは私の後ろにいるトシに気づくと、こう言った。
「またまた、ムサい連中がぞろぞろと……今年はタケノコ狩りですか?コノヤロー」
「そこをどけ、そこは毎年真選組が花見をする際に使う特別席だ…」
「ま〜たァ、チンピラ警察24時ぶりを発揮してんじゃねーぞ?てか、毎年同じことしか言えねーんですかァ〜?」
「んだと?!コラァ!!」
やっぱりトシと銀さんは喧嘩を始めた。まったく、仲良すぎだよ。
「まァ、俺たちは酒が呑めりゃどこでも構いやせんけどねェ〜」
総悟くんは一升瓶を片手に腰を下ろす。
「そうですよ!!俺たちゃ酒が呑めればどこでだって…」
「そうだよ!!私だってお酒が呑めればどこでだって…」
「みか、お前が言うな!!!てか、すでに万事屋んとこで呑もうとすんな!!!!」
「え?」
あ、バレた?
「いいじゃない、一緒にお花見したら楽しいよ?」
「構わないが、俺はコイツがいるのが気にくわねーんだよ。」
「いや、俺は弁当さえ手に入ればそれでいいよォ〜?」
「銀さんは、私とお妙ちゃんのお弁当があるでしょ?」
のんちゃんが、銀さんの袖を引っ張って言った。
「だってのんの弁当、銀さんちょーっとしか食ってねぇんだよ〜?神楽がほとんど食っちまってさァ〜」
「銀さん用のがあるから、ね?」
ホラ。と、銀さん専用のお弁当箱を差し出すのんちゃん。
「おお!!ナイスのん!!」
銀さんは目を輝かせている。
「銀ちゃんだけズルいアル!!もっと私に弁当よこせよ!!」
神楽ちゃんがぶーぶー膨れている。
「あらぁ〜神楽ちゃんには私のお弁当があるわよ?」
笑顔で例の卵焼きを差し出す、お妙ちゃん。
「あ、アネゴの弁当は…」
神楽ちゃんがたじろいでいる。
「いやぁ〜お妙さん、わざわざ俺のために弁当をこしらえて来てくれて、ありがとうございます。」
ドゴォォォ!!!!!
近藤さんは一撃で永眠した。
「まァ、とりあえず一杯やりやしょうぜ?」
総悟くんがお酒をついで呑み始める。
「せっかくお花見に来たんだから、楽しく呑まないとね?」
「そうそう。呑みましょう。」
お妙ちゃんが、私にお酒をついでくれた。
総悟くんはお酒が強いらしく、顔色ひとつ変えずに呑んでいる。
そういえば、トシはと言えば…
「まァ、みかの弁当を食いたいという気持ちはわからねーでもねェな。何故なら、プロ顔負けの弁当だからなァ…」
「プロ顔負けだァ?のんの弁当に勝てるとでも思ってんのォ?のんの弁当なんて〜海原雄山も認めるほどの腕前なんだぜェ〜?」
「なんだと、ウチのみかなんかなァ〜美食倶楽部の…」
「オイィィィィィ!!!なんかやめて!!なにそのウチの子自慢みたいなダサい言い合い!!聞いてるこっちが恥ずかしいからヤメてェェ!!!」
新八くんがすかさずツッコミをしている。ほっとけばいいのに。
「てか、アンタらまた飲み比べしてんのォォォ!?」
「ヨシ、次はテキーラだ!!」
「上等だ!!灰皿につぐんじゃねーぞ?コラ。」
それはどこのエビ蔵ですか…
そんな二人を尻目に桜を見ながらコップに目を落とすと、桜の花びらが一枚ひらりと中に入る。私はそれをグイッと飲み干してぐるりと辺りを見回した。
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