夢小説2

□戦い前
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先ほどから空を見上げている後ろ姿へと足を向ける。

俺の足音に振り向き、少し緊張したような笑顔を見せる。

「一角さん・・」

「怪我はもう癒えたのか?」

「一角さんこそ、大怪我されたのにもう大丈夫なんですか?」

「誰に言ってんだ?そういうテメェも俺の隣で包帯ぐるぐる巻きでウンウン唸ってただろうがっ!」

俺より弱いこいつに怪我の心配されるなんて情けねぇとイラつきながら答えれば

「私はそこまでの怪我じゃなかったです。」

こいつも相当な意地っ張りだ。

これから向かうは戦いの場。

どうなるかはわからねぇ。

「なあ・・・」

俺の声にもう一度振り向いたその顔にはまだ緊張が見えたが、目は戦う者のそれだ。

「何ですか?一角さん。」

「・・・」

言いかけて止めた言葉。

・・・死ぬんじゃねーぞ・・

十一番隊に居る限り、死とは隣合わせだ。

強ぇ敵との殺り合いで死ぬのは本望。

だが、死にてぇ訳じゃねぇ。

それはこいつも一緒だ。

そんなのは言わなくたって十分解ってるはず。

言えばその言葉がこいつの戦いの足枷になっちまうかもしれねぇ。

「派手に喧嘩しようじゃねーか。」

「ですね。」

「済んだらうまい酒でも呑みてぇもんだ。」

「その時は御馳走してくださいね。」

薄く笑うこいつの肩を抱き寄せる。

「おいっ、肩に力入ってんぞ。」

この緊張がこれから来る敵への期待なのか恐怖なのかは今は聞かないでおいてやる。

抱き寄せた腕に力をいれれば、肩から力はスッと抜けた。

「ありがとうございます。」

「さて、行くとするか。」

斬魄刀を握り直し、前へと進む。

さあ、喧嘩の始まりだ。

END

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