ふみ
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『‥鬼龍院さん。』
「…!」
ドアを開いて、そこに立っていたのはメールを寄越した本人。喜矢武さんだった…
「どうしたの…?」
『演劇の事、話しにきたよ。上がっていい?』
―――――
僕は喜矢武さんを家に入れて、演劇の話をする事にした。
「…飲み物出すから、座ってて。」
『おう』
今から何を言われるかが心配で気になって、頭がぼやっとしてきた…。
「‥はい」
ジュースを出して喜矢武さんと向かい合って座ると、僕は口を開けずにいた。
『鬼龍院さん。
演劇の事だけど、あの台本のキスシーン、無くさないでね。』
「え…。」
笑顔で話す喜矢武さんに混乱してしまう僕。
『俺、ちゅーしたいよ!…鬼龍院さんとなら出来るの』
言葉が出ない僕に続けて話してくる喜矢武さん。
はぁー…顔が熱いよぉ。
『今日は何の日ですか?』
「ぇっ‥?今日…」
そう、僕は喜矢武さんに騙されたのだ。
今日はエイプリルフールだ。
『メールの内容は嘘だし…。鬼龍院さんを全否定なんかしないよ、俺。
騙してごめんね。』
苦笑いで頭をクシャっと撫でてきて、喜矢武さんは僕を抱き寄せてくれる。
優しさは本当だね。
大好き…。
おわり