ふみ

□煙
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喜矢武さんが煙草を吸いに楽屋を出て30分経つ。


僕、1人で待ってるんだよ?
…偉くない?

でもね、もう寂しさ限界なんです。



僕は喜矢武さんが向かった喫煙所へ歩みを進めることにした。



―――

「‥‥煙たい(泣…‥ケホっ‥」

喫煙所が近くなるにつれて咳が軽く出始めた。


『!?…鬼龍院…ッ』

「‥喜矢武さ‥ケホッん…」


煙草片手に凄まじい勢いで此方を振り向いてくれた喜矢武さん。

…僕の咳で存在が分かるなんて、流石ですよ。そういうとこもイケメン要素なのね。

喜矢武さん、格好良いなぁ…


『馬鹿!』
「!?」

煙草を灰皿に押し消し、僕に近づいてくる喜矢武さんは怒ってる…‥?



『煙草吸ってるときは近づくな!!』

「ぇ…」


僕の両肩をガッチリ掴んでは眉を少し下げながら強い口調で話し掛けてくるイケメン様。

あぁ…。そのまま僕を押し倒してくだ(ry



『おい!鬼龍院‥。早く楽屋戻れよ。

…煙たいだろうし、喉の調子悪くさせんのイヤだからさ…』

「ぁ、、ぅん‥」


ボーっとしていた僕の肩を軽く揺すりながら、喜矢武さんは心配をしてくれた。


あ。もーーーーーッ!!

違うんだ!

僕は喜矢武さんに会いたくて寂しくて仕方がなかったのに…

‥ま、たった30分なんだけどさぁ…‥


「喜矢武さん!…」


欲に任せて目の前の喜矢武さんに抱き付く僕。


『鬼龍院!??‥』



僕を受け止め、バランスを崩した喜矢武さんは壁に凭れ掛かる。



『もう、何したんだよ。

‥いきなりやめ…ッ‥ん…‥‥』

ごめんなさい、喜矢武さん。我慢できないや。


僕は喜矢武さんの唇を奪うと優しく啄む。



『…ちょ、きりゅ‥』

「‥‥ん?‥」

とろんとした瞳で僕を見つめ呼ぶ喜矢武さん。



『‥誰か‥来ちゃ…ぅから‥』



僕の顎を掴んで引き離そうとする喜矢武さん。


仕方ない…。

30分僕を1人にした罰は楽屋でだぁね。



名残惜しく喜矢武さんの唇から離れると、僕は目を細めた笑顔を作って手を引き、一緒に楽屋へ戻った。



喜矢武さんから煙草の香りが伝ってきたけど、嫌じゃないのは何故だろうね…。





おわり。
 

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