ふみ

□4/1
1ページ/2ページ


―喜矢武さんから、こんなメールが届いてた…


《次の演劇、俺はキスシーンしたくない。
淳クンか研二とやってくれよ…キスシーン。》



…台本見せたときはキスシーン喜んでたのに…

どしたの。喜矢武さん。


僕は気になって喜矢武さんに連絡を入れてみる。


《台本、気に入らなかった?…手直しするよ。
だから、嫌なところを教えてほしい。》



数分経たないうちに返信メール。



《全部気に入らねぇ。》



僕は画面を見ながら固まってしまった。

あの喜矢武さんが、僕の台本内容を否定した…。



今までそんなことなかったのに…。

やっぱ、俳優やると変わってしまうのかな、台本に対する考えとか…さ。


「‥喜矢武さ…ん‥‥」
気づけば目の前が霞んでて、携帯の画面もぼやけている。


―ピーンポーン―



インターホンに気づくまで少し時間が掛かった。

「こんな時間に…」

玄関へ向かいながら、目に浮かぶ涙を軽く振り払う。



―――――カチャリ
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ