ふみ
□着替
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テレビの収録が終わって楽屋へ戻ると、研二くんや淳くんは直ぐに準備を済ませて「お疲れ様ー」と帰ってしまった。
僕と喜矢武さんが取り残された。
「あの2人ってば、いつも早いんだから。」
『そうだね』
パイプ椅子に掛けながら発する僕。
喜矢武さんは腰を上げて、衣装を脱ぎ始めた。
…僕も着替えよっかなぁ…でも、タミTだし、このまま帰ろ。
……ただ座っててもアレだし、喜矢武さんの着替え姿を見学しましょうか。
僕は立ち上がって、喜矢武さんの目の前に立つ。
『鬼龍院さん?着替えは…』
半裸の喜矢武さんが訊ねてくる。…うーん、このしっとりとした肌に巻き付きたい!!…
「…あぁ、タミTだからこのまま。」
『ん、そっか。…1つ訊いて良い?』
「うん」
『なんで目の前に立ってんの?、、、』
よく気付いたね、喜矢武さん!
「着替え観察。」
『………………は…?』
ハテナを沢山浮かべた頭で聞き返してくる喜矢武さん。
その表情が堪らない…頭を撫で回してあげたいよぅ。
「だから、喜矢武さんの着替えを観察。…んー、見学するの。」
『ぁ、そう……』
どうせ何時も見られてるし、といった表情で頷くと着替えを再開する喜矢武さん。
ズボンを脱いでパンイチ姿。
ちょくちょく此方を窺いながら着替えを進めてるから、可愛い。
…パイプ椅子を喜矢武さんの目の前に置き、座る。
腰からナメるように顔まで覗いてやると、頬を赤らめてる様子が分かる。
『あんまり見過ぎんな。』
ジーンズを穿き半裸に戻る喜矢武さん。
「んー、喜矢武さん綺麗。美しい、抱きつきたい!…」
『良いよ。』
…あ、僕としたことが…心の声を言葉に出してしまった!
「ぁ、、あの…その、今のは流して…」
『…変態』
喜矢武さんの肌の温もりが僕の肌に伝わってくる。
…背中に腕が巻かれているのを感じる。
僕の目の前に見えているのは喜矢武さんの素肌。
少し顔を上げると、喜矢武さんのメイクをしたままの目許が此方を向いている。
こんなに近いと恥ずかしいよ……てか、抱かれてるというこの状況!
「恥ずかしいよ…喜矢武さん。」
『もっと抱かせてよ…。…俺の着替えを観察してた罰。』
格好良い言葉をさらっと言ってのけると、僕の唇は喜矢武さんのソレで優しく塞がれた。
…変態で良かったかも。
おわり。