ふみ

□仮眠
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今目の前のソファでは頭がハニトー、そして橙色のスーツを着用した喜矢武さんが横になり仮眠中。

勿論、僕は紺色のスーツを着用して翔也さんの格好。

…出番待ちで時間に余裕ができてしまった訳だ。

「喜矢武さん…?」

起きるワケない。僕も仮眠を取ろうか…

喜矢武さんが横になっているソファの頭側に座り僕は瞼を閉じる…。



…うっすら瞼を開けて喜矢武さんの顔を覗けば、色っぽくて…
紅を乗せた唇はいつもの色素が薄いソレとはまた違って良い。
…目許もシャドウが艶やかだし。

いやいや、何考えてんの僕。変態すぎるわ。

喜矢武さんに色気を感じちゃうなんてね…

『ん……っ…』

軽く身を捩らせ、仰向けに寝始めた喜矢武さん。

その頬に手を添える僕、親指で唇を軽くなぞってやると喜矢武さんの唇が薄く開いた…
そのまま親指で歯列を軽く弄り始めてしまう僕。

「厭らしぃね…喜矢武さん…」

いきなり指先に舌が絡まってきて、ねっとりと舐めてくる…

「!…ぇ…」

直ぐに引き抜こうと思ったのは遅くて、指先は喜矢武さんの前歯で軽い甘噛みを喰らっていた。

「起、きてたの?」
『…んーと、、ほっぺに手が来た時からかな。』


重そうに瞼を上げ、指先を噛んだまま僕を見てくる喜矢武さん。
顔が熱い。…やらかした。
厭らしい…とか言っちゃった…

「…なんかごめん」

『なにが?』
「ぃゃ…」

喜矢武さんは僕の親指を自分の口から抜き、舌で唾液を絡め取ってくれた。

うん、エロい…

『…そんなに厭らしかったの?俺。』


上目遣いで此方を見つめて質問してくる喜矢武さん。

「ぁ、ぅん。」
『そ。…でも、鬼龍院さんの方がヤらしいよね?』

「へ!?…」

『いきなり俺のほっぺと口、触っちゃってさ…』

ニヤリと悪い笑みを浮かべ此方を窺う喜矢武さん。僕は返答に困り目を逸らす。


「きゃ、喜矢武さんだって…指舐めてきたじゃんか!…」

『…舐めちゃイケない?』

僕はその答えに驚き固まる。
喜矢武さんは身を起こして硬直した僕に抱きつき、首許へ唇を落とす。

『ちょ、今出番待ちだからね?…メイク落ちちゃうと大変…』

「…翔也の唇、頂きますッ。」
唇が喜矢武さんのソレで塞がれる。


このまま仮眠を取らせて欲しいくらいに気持ちが良い口付けだった。




おわり。

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