宵闇ライト
□緋色ダークネス
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「………めんどくせぇ…」
赤い髪の少年は呟く。
「……あぁ、本当にめんどくさい……」
それは彼の口癖。彼から発せられるのはその気だるさそうな口癖のみ。
だが、誰も彼の話を聞かない。
―否…。聞けないのだ。
赤い髪の少年の前には怯え、腰を抜かしている男性が一人。決して虐めているわけではない。
この男性は“犯罪者”なのだ。
それ相応の罰が必要なのである。
ガタガタと震えるその男性は涙を流し、涎を垂らし、鼻水を垂らしながらも決して逃げようとしない。
いや、逃げられないのだ。
この赤い髪の少年がそれを許さないと言わんばかりに睨んでいるのだから……。
「………なぁ、お前もめんどくさいと思うだろ…。この世の中、悪い奴等の方につけば自分も悪い奴…。良い奴等の方につけば自分も良い奴…。……本当にめんどくさい世の中だよな……」
赤い髪の少年は懐から拳銃を出し、男性に銃口を向ける。
「…………でも、それだから面白い…」
バンッ!!
そして撃つ。少年は男性を睨みながら、決して表情を変えずに…。
いつもの光景。
いつも通りの仕事。
“犯罪者”は赤い髪の話を聞かず、ただただ涙を流しながら血を流すだけ…。
「………あと少ししたら人が来る。…その時に傷の手当て、してもらえ…」
赤い髪はそう言うとプイっとそっぽを向きこの暗闇から出ようとする。
そして最後には必ずこう言うのだ…。
ただただ…。
―『めんどくせぇ』…と。