霊感少年

□黒人魚(前)
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何気ない1日と言うには、
自分達は既に遠く掛け離れていると思う。

珍しく起きて練習に励む芥川を見ながら、
跡部は目に力を込める。

立海程ではなくとも、
氷帝でも霊問題が多発していた。

己れの事だけならば「またか」で済ます。

生霊にも死霊にも何故か憑かれやすい体質だが、
幸か不幸か実際に跡部が霊を見た事は少ない。

それに、
これも何故か霊障を受付けない体質だと聞いた。

だから跡部自身への霊問題なら、
今更感が強くて本人も気にしていない。

それなのに『問題』となっている理由は、
『氷帝全体』であるからだ。

芥川が何も言わないのなら、
跡部には直接関係はないのだろう。

知らず重い空気を吐き出した跡部に、
侑士と宍戸が近付いて行く。


侑「何や疲れてそうやな」

宍「気分でも悪いのか?」


言葉掛ける2人をチラリと見て、
跡部は一瞬だけ考え込む素振りをする。

そして部活後に話すとだけ告げた。

その部活終了後に、
着替えと日誌への記帳を済ませると、
跡部は早々に皆に帰る事を促す。

訝しむメンバーであったが、
向日達は大人しく帰宅してくれた。

残ったのは跡部と侑士、宍戸、
それと何故か芥川の4人である。

樺地ですら帰した跡部に首を傾げる侑士と宍戸だが
跡部も芥川が居る事に疑問に思う。


跡「ジロー、帰らねぇのか?」

芥「ん〜、もうちょっとだけ居る」
 
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