霊感少年

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確かにタイミング的には避ける時間はなかった。

だが老婆が打ち出した霊気の塊は、
不二に当たる事なく消滅したのである。

いや、正確に言えば消滅ではない。

飛び込むように窓をすり抜けてきた4つの白い影が
塊を押し止め、
そして喰ってしまったのだ。

突然の出来事に2人と2霊は唖然とする。


丸「今・・・何が起こったんだよぃ?」


最初に我に返ったのは丸井だった。

その問いには答えられないが、
不二と槝若谷もハタと気付き“それ等”を凝視する。


槝「え〜と、狐っスか?」


槝若谷の言う通り、
いきなり現れたそれ等は白銀の狐に見えた。

4体の狐は不二の回りを飛び跳ねる。

その姿は何やら嬉しそうだ。

その内の1体が鼻先を不二に擦り付けた時、
老婆が奇声を発した。


「何だ?!何なんだい、そいつ等は!!?」


そんな事を聞かれても、
答えなど誰も持ち合わせてはいない。

憤怒の形相をする老婆だが、
彼女以上に怒ったもの達が居た。

少なくとも丸井や槝若谷にはそう見えた。

白銀の狐達である。

まるで主人を守る忠犬のように、
狐達は不二の前に立ち威嚇を始めた。

そしてそのまま攻撃を仕掛け・・・


丸「マ、マジかよぃ?」

不「お婆さんを食べちゃった」

槝「何ものだ?こいつ等?」


先の霊気の塊のように、
狐達はアッと言う間に老婆を消滅させた。

あまりの早業に、
ついつい その場に座り込んでしまう。

狐達は「褒めて」と言わんばかりに
不二に身体を擦り付ける。
 
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