霊感少年

□(中)
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鏡の中に入った仁王は、
辺りを見渡して首を傾げた。

先に入った筈の丸井の姿がない。

と言うより、
通ってきた鏡すら見当たらなかった。


仁「場所は旧校舎みたいじゃが、
どうなっとるんぜよ?」


仁王が居るのは教室の1つだった。

見た限りでは、普通の教室である。

ただ、机等は木製だ。


仁「幸村と参謀は大丈夫じゃろうが、
ブン太は駄目じゃろうな」


兎に角、不二と丸井を捜そうと、
仁王は教室を出る為、扉に手を掛ける。

ガラリと扉を開けて、
彼が先ず目にしたのは骸骨であった。

一瞬 目が合い、
仁王は何事も無かった様に扉を閉める。


仁「・・・何も感じんかったんじゃが」


霊感が鈍っている訳ではない。

以前 訪れた宇都宮芹香の家の様に、
充満し過ぎて判り辛くなっているだけだ。

そうなると、
事前に危険を察知しにくくなる。

それは自分だけでなく、
他の4人も同じ事・・・

早く捜さねばならない。

再び扉に手を掛けた時、
外側からそれは開かれた。

開けたのは、


「人間・・・ご飯・・・」


カタカタと歯を鳴らして器用に喋る骸骨は、
仁王に向かって突進してきた。


「ご飯!食べる!!」

仁「誰がご飯ぜよ?
おまんになんぞ食われてやらんなり」


ヒラリと骸骨を躱して仁王は教室を出る。
 
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