霊感少年

□合縁奇縁(前)
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校内を歩いていた不二はフと立ち止まった。

霊気がゾクゾクと背筋を掛け上がり、
異様に視線を感じる。

経験上、霊が居るのだと思う。

むやみに辺りを見渡しては、
視える質だと気付かれかねない。

そうなると憑依とまではいかないが、
取り憑かれて厄介な事になる。

素知らぬ顔でいた方が良いと、
止めていた足を動かし始めた。

尤も“こんな所”に来ている以上、
いつまでも通用するとは思ってはいない。











席を外していた仁王は教室に戻ると、
不二の姿が無い事に不思議に思い、
丸井に尋ねてみる。


仁「ブン太、周助は?」

丸「担任に呼ばれてたぜぃ」


ほら、あいつ今日は日直じゃん。

言われてそう言えばと思い出す。

しかし休憩時間が終わっても、
不二は教室に帰ってこなかった。


丸「どうしたんだろうな?」

仁「判らん・・・」


付き合いや流れでサボる事はあっても
彼が自らの意思で行う事はない。

何かあったのか?

幸村に拉致られたのならいいが、
(別の意味で心配だが)
もし 不埒な輩に連れ去られていたら・・・

仁王は徐に席を立ち上がり、
教壇に立つ教師に告げる。


仁「気分が悪いんで保健室に行きます」

丸「あ、俺も」


教室を飛び出した2人の背後で、
「そんな元気な病人がいるか!!」と
叫ぶ教師の声が響き渡った。
 
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