霊感少年

□利用された想い
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先輩の霊力を下さい。

いきなり訪れての突然の台詞に、
不二は驚き動きが止まった。


不「越前?」

越「聞こえてました?」


聞こえてはいたけれど、
意味も意図も判らない。

越前は大きな目でジッと不二を見る。


越「隠さないで下さいね。
先輩に霊力があるの判ってんスから」

不「何が・・・言いたいの?」

越「だから霊力を下さいって」


不二は正直 困った。

下さいなんて言われても、
簡単に渡せるものなんだろうか?

不二にはそんな方法は判らないし、
何より越前の目的が全く見えない。

霊力の事なのだから仁王に相談するか?

転校したとはいえ、
後輩の事だから自分で何とかするべきか?


不「あのね 越前。
そう言われても困るんだよ」

越「先輩にとって必要なものっスか?」


必要?

霊力が?

恐い想いしかしてこなかった。

小さい頃から何度要らないと考えたか・・・

でも・・・


不(今の自分が在るのは・・・)


仁王と一緒に居られるのは、
紛れもなく霊力のお陰である。

彼の力になりたい。

そう思い始めている不二には、
無下にする事は出来なくなっていた。

だから・・・


不「僕にとって必要な能力だ」


忌むべき能力と思っていた越前は、
はっきり告げた不二に驚愕を隠せない。
 
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