霊感少年

□少女の人形
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いつも通り部活を終え帰宅した幸村は、
自宅の門扉で足を止めた。

何だか嫌な気配がする。

ゆっくりとした動作で、
門を通り玄関を開けてみる。


幸(自分の家で何、警戒してんだ?
俺は・・・)


そう思うが、
警戒せずにいられない程の、
肌に突き刺さる様な嫌な気配・・・


幸「ただいま」

「おかえり〜、お兄ちゃん」


家族団欒の場。

リビングに顔を出した途端、
幸村の身体は硬直した。

「おかえり」と言ってくれた妹が手にしている人形。

嫌な気配はソレからしていた。


幸「その人形・・・どうしたの?」

「可愛いでしょ?友達に貰ったんだ」


極上の笑みで告げる妹に、
気持ち悪いから捨てろ、とは、
流石の幸村も言えない。


幸(恨むぞ。その友達!)


ニコニコと笑い合う兄妹に、
「ご飯よ」と伝える母。

一見するだけでは判るまい。

兄の心中が信じられない程、
暗黒に渦巻いているなんて・・・











爽やかな朝だというのに、
幸村から発している不機嫌オーラが、
周りをビクビクとさせている。


蓮「精市、何かあったのか?」


柳の問いに幸村は、「少しね」と答えるが、
詳しくは話す気はなさそうである。
 
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