霊感少年

□(後)
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骨格標本の動きは早く、
そして驚く程 頑丈であった。

河村や桃城の一撃にもびくともしない。

それなのに素早く背後に回られて、
反対に撲られそうになる。

今のところ皆は避けてはいるが、
それもいつまで躱せるか自信はない。


菊「何かムカついてきたにゃ」

大「英二、頼むから冷静でいてくれよ」


ここで自棄になって突っ込まれでもしたら、
確実にやられるだけだろう。

大石は菊丸を宥めながら、
短気な海堂と無鉄砲な桃城にも注意する。


乾「しかし、このままでは埒があかんな」


一旦引いて体勢を立て直すか、
反撃を怖れずに一斉攻撃を仕掛けるか。

どうするのかと乾は手塚を見る。


手「このまま攻撃を続けよう」


但し、攻撃箇所を限定する。

骨を攻撃しても無駄なのは重々承知した。

だから別の場所を狙うと手塚は言う。


桃「骨格標本なのに骨以外の場所?」

海「骨しかないっスよ?」


どっからどう見ても骨以外見当たらない。

手塚の狙い目が判らず首を傾げる面々を置いて、
乾は1人で納得したように「成程」と呟く。


菊「どこ狙うのかとっとと教えろよ!」

乾「関節だ」


骨と骨との間。

標本なのだからそこは接着されているだろうが、
骨の表面よりは脆い筈である。

簡単にそこを殴らせてくれるかは別の話だが、
今はそこを狙う他なかった。

先ずは動きの早い菊丸が、
囮のように近付いて箒を振り上げる。

大振りな動作に骨格標本が容易く躱したところで、
桃城がモップで横殴りにした。
 
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