霊感少年

□(中)
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最初に皆で集まっていた教室に行こうとした乾だが
矢張り昇降口に戻ると告げた。


菊「はぁ?結局戻んのかよ」


意味判んね。

そうぼやく菊丸ではあるが、
それは乾が状況を知る前の話である。

聞いた限りバラバラになった皆は
確実に昇降口を目指している。

先までは其処に自分達が居なければ
隠れていた教室の方に来るだろうと思っていたが、
どうも一刻も早く合流した方が良さそうだ。


海「け、けど乾先輩。彼処には石膏象が・・・」


海堂は直接見た訳ではないが、
動く石膏象が居ると聞いた後では行きたくはない。

その気持ちが判る菊丸は同意するように頷く。


大「しかし、合流した方がいいのは確かだぞ」

乾「それに俺達だけではどうしようもないからな」


霊の姿が見える手塚と聞こえる越前。

この2人が居ない事には、
どう動けばいいのか判らない。

尤も閉じ込められている以上、
2人にもどうする術もないかも知れないが。

菊丸と海堂は目を合わせ、
仕方ないと溜め息を溢しながら戻る事に同意した。

そしてその頃の越前と桃城は、
学食の片隅に隠れていた。


越「ったく、何で昇降口と反対に走るんスか?」

桃「いや〜、いつもの癖でよ」


癖になる程 学食に入り浸っているのかと、
越前は呆れた目で桃城を見る。

そんな視線に気付かない桃城は、
立てた自分の足の間に顔を埋めて溜め息を吐く。


桃「俺等、どうすりゃいいんだろうな?」


情けなさそうな声で呟く先輩に、
越前は何も答えないままスッと立ち上がる。

そして傍らに設置されている自販機から、
好きなグレープ味の炭酸ジュースを購入した。
 
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