薄桜鬼 長編

□約束
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今、俺たちは広間に集められている。

原「これは?」
?「これは…」
『変若水、幕府の命令だよ。後ろ立てが欲しければ、この薬の研究をしろ、ですよね?雪村綱道』
綱「あなたは?」
『………』
土「うちの監察方だ」
『…帰れ』
綱「?」
『飲んだら理性を失うような薬、持ち込むんじゃねぇ!』
斎「美葵、落ち着け!左之」
原「あぁ、美葵、話を聞け」


飛びかかりそうな勢いの美葵を斎藤と押さえつける。


『離せ!!』


だめだ、完全に我を忘れてやがる。


沖「美葵ちゃん、落ち着こう?ほら、おいで?」


総司が美葵の頭をなでる。すると、美葵は肩を少し上下させながらもおとなしく総司の腕の中に収まった。




『………』
土「美葵」
『………』
土「美葵!!」
『…っ、』


あれから、頼るあてもない俺たちは、変若水という条件をのむこととなった。それから、美葵は、誰が話しかけても口を利かない。


土「いい加減、機嫌直さねぇと外に放り出すぞ」
『………はい』
土「こっち向け」
『…』


そう言われて顔を上げた美葵の目付きは鋭いものだった。

土「気に入らねぇのは、分かるが、どうしようもないだろう?」
『………はい』
土「だからいいな?あーだこーだ言うんじゃねぇぞ」
『………わないで』
土「?」
『使わないで!!』
原「美葵……」
『お願いだから、使わないで…』
土「………」
『あんな、なったら嫌だ!!』
土「美葵」
『………』
土「分かったよ、俺らは絶対に使わねぇ。皆もいいか?」
原「おう」
沖「美葵が言うならしょうがないな」
斎「あぁ」
平「俺もいいぜ」
永「約束する」
山「分かりました」
井「約束しよう」
山崎「俺も約束する」
土「だとよ、いいか?美葵」
『うん、ありがとう』


この夜、俺らの中で約束ができた。変若水は使わない。それは、美葵の心を助けるものであるけど、体を、体力を削ることがあることは、誰も知らない。
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