薄桜鬼 長編
□夏目との出会い
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今日、俺は浪士組に入る。晴れて武士となるのだ。
俺の家は医者だ。俺も家の手伝いをしていた。しかし、俺は小さい頃から武士に憧れていた。見よう見まねで武士のようなことをしていたりもしたが、何かが違う。やはり、医者の家に生まれた俺は武士にはなれない。そう思い、あきらめていたところだった。あの貼り紙をみたのは……
・浪士組を結成する。隊士を募集する。身分は問わない。 江戸幕府
これだ!!自分が憧れている、武士になれるのだ。
俺は、その場で決意した。親にはもちろん、反対された。しかし、そんなことは耳にも入らなかった。その日、家を飛び出して、今日、屯所に着いたのである。
今、土方さんに連れられて、広間にいる。
「お前の……上司を連れてくるから、少し待ってろ」
「あいつが上司か?」
「絶対、つとまらねぇぜ?」
赤髪の人と少し小さな少年が笑う。
「んなもん、肩書きに決まってるだろ?あのおてんば娘につとまるか!」
苦笑いをしながら、そう言って土方さんはでて行かれた。
「……あの」
「ん?どうした?」
「なぜ、皆さんあのようなことを?」
単純に疑問に思った。ここにいるのだから、それなりに腕のある人だろう。なのに、なぜ?
「ハハハ、まぁ、みれば分かるさ!!」
「そうそう!」
「…はあ……?」
その意味が分かるのは、数分後。
(土方さん、さっきおてんば娘って……!?)