薄桜鬼
□俺の特権
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『一兄〜』
「どうした?」
バフッ。
『ヒヒヒッ』
「……」
黙って頭を撫でてやれば嬉しそうに笑う。なぜか、小さい頃から、俺になついた美葵。歳が近いのなら、平助もいる。平助の方が明るいし、美葵にはあっていると思うのだが…。
『一兄の襟巻き、フカフカしてて気持ちいい♪』
理由の一つはおそらくこれ。美葵の身長だとちょうど、顔にあたるらしい。嬉しそうに擦りよってくる。
ヒョイ。
『!!…高い!!』
「嫌か?」
『ううん、むしろ好き!!』
キャハハと美葵が笑う。
『ねぇ、一兄?』
「…どうした?」
『一兄はさ、なんでそんぬ落ち着いてるの?』
「?」
『だってさ、平助と一緒でしょ?』
確かに、静かな方だとは思うが…。しばらく、考えていると美葵はこう言った。
『まっ、いっか!!一兄は一兄で平助は平助だからさ。二人とも、大好きだ!!』
そう言って抱きついてくる。
「美葵」
『なに?』
少女を地に下ろし、襟巻きを取って、美葵にかけてやる。
『!』
「どうだ?」
『…嬉しい!!一兄の襟巻き!!』
例え、甘えてくる理由がこれでも、俺はかまわない。ここだけは誰にも譲れない。
俺の特権。