短編・稲妻の夢
□寒さよりも
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貴「うぅ…寒い…;;;;」
もう3月になろうかというのに
冷たい風がわたしの体を撫でる
その度にわたしはぶるりと体を
震わせ手首を擦った
貴「寒いよぉ…;;;」
半分泣き声のような声を上げたその直後
ーーーファサ…ッ
貴「…!」
わたしの肩に見覚えのある
愛しい人の紫色の学ランが
ふわりと掛けられていた
貴「京介っ…!」
剣「これで少しは暖かいだろ?」
貴「で、でも京介が…!」
剣「俺はいい」
貴「嘘だ!今日すっごく寒いもん!」
剣「寒くねぇよ、それにそんな薄着じゃお前が風邪引く」
貴「京介の方が風邪引いちゃうよ!」
剣「引かねぇって、ほら」
そう言って左手を差し出した
京介はわたしに柔らかく微笑んだ
貴「////」
剣「どうした?」
貴「な、何でもないよっ///」
不覚にもその笑顔にキュンとしてしまった事は内緒にしておこう
でも握った右手を優しく握り返した京介の左手が冷たかった事に
少し申し訳なさを感じた
貴「京介…寒いんでしょ…?」
剣「寒くねぇって言ってんだろ?」
嘘だ…さっきからずっと
ガチガチと震えてるし
唇の色も紫色だもん…
貴「京介…ごめんね…」
剣「何でお前が謝んだよ?」
貴「寒い思いさせてるから…」
剣「……ハァ」
そう言って京介は深く
溜め息を吐くと
ふいに立ち止まった
剣「いいか名無しさん?俺はお前の彼氏だ、お前がいくら俺に迷惑掛けようが俺は構わない」
剣「寧ろ、俺に頼ってくれてるって思うと俺は嬉しい (微笑」
貴「えっ…////」
剣「だから………」
コツン…
剣「もっと俺に甘えろよ? 」
額と額をくっ付けた京介は
わたしの顔をジッと見つめ
チュッと軽くリップ音を立てて
軽く口付けした
貴「きょ///京介ッ!?////」
剣「クスッ) ほら、行くぜ?」
寒さよりもあなたの
優しさの方が温かいです
(明日、風邪引いても
知らないからねッ!)
(その時は名無しさんに
看病してもらうからいい)
(な"っ!!////)
ーENDー