rose story

□3本の薔薇
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「キャンさん、おはようございます」

「お、おはよう」


今日も君は素敵な笑顔を浮かべて俺に挨拶をしてくれる。
そして、俺は“今日も”ぎこちない返事を返す。


「体調、お変わりないですか」

「おぅ、大丈夫」


いつになったら自然体で返事を返せるのだろう。
いい加減自分が嫌になっていた。


「今日も頑張りましょうね」

「うん」


視線も合わせられない。
気の利いたことも言えない。

なのに君は嫌な顔一つせず俺を避けることもせず話し掛けてくれる。

それはきっと事務的なものなのだろう。


事務所の人として、芸能人として、
俺に話し掛けてくれる君。


「一人の女性」として君を見ている事実が、どうしようもなく俺を苦しめていた。



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