私は男のようです。帝光編

□泡沫の少年
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「せーの、」

『うーみーはー広いーなー大きーなー』



只今バスケ同好会、熱唱しながら外周中
放課後すぐのことで帰宅途中の生徒から注目されまくり

中を使いたかったのだが、顧問曰く放課後すぐはバスケ部が陣取っているらしく空いていないらしい
バスケ部顧問との交渉の結果、補強後は三軍が使っている体育館を一緒に使っていいらしい
それ以上にしたい(全面使いたいとか)ならバスケ部が終わった後にしろとのこと


この話をしていたときの顧問の顔は怖かった
なんでもこれを決めたのはバスケ部顧問でもコーチでもなく、理事長らしい
バスケ部の勝利が全てという理念も理事長が提案したようで、今年設立したばかりの同好会と歴史あるバスケ部、扱いの差が酷いとかなんとか

と、まぁここまでは別にどうでもいい
出来たばかりの同好会に手厚くするはずがないのなんて分かりきっている


しかし、だ
いくらムカついたからと言って歌って外周してこいって鬼畜すぎる
顧問は沸点を越えると凄く怖かった
部員の誰もが反論出来ず羞恥心を捨て切れないまま従うぐらいに
しかもここだけの話、俺たちの顧問は理事長が気に入らないらしく、俺に愚痴ってきた

そして俺達の恨む対象は必然的にバスケ部になる
いや、恨むというより妬む、か



「なんなのだよぉおお」

「山本おまっ、うるせ」

「バスケ部うらやましぃいい」

「バスケ部ぅううう」

「お前ら落ち着け、最後まで歌わんと殺されるぞ」



痺れを切らした山本が発狂しだしてそれを皮切りに皆が愚痴を零していく
お前らわかってんのか
叫べば叫ぶだけ注目されて惨めなんだぞ

しかもバスケ部は贔屓されるぐらいの結果を残している部活だ
俺らが妬んだところで意味もない



「ぎんぎらぎんにさりげなくうー」

「硝子のしょーねんじーだいのーはーへんが胸へと突き刺さるー」

「お前ら統一しろ!しかも古い!」

「あひゃひゃ!」

「金本は笑いすぎ!」



山本達が通っていた小学校の教員に同情する
よくこんな手に負えない四人組を教育できたな、俺には無理だ

冷静で毒舌に定評のある楓ならコイツらをどうにかしてくれそうだが、マネージャーとしての仕事を別にやっているため今はいない



「じゃあかえるのうた輪唱ー」

「せーの、」



かえるのうた輪唱を無限ループさせるらしい
五人が一列に並んで先頭から順に歌い出していく
歌い終わったら最後尾に移動してまた歌い出す
出来るだけ途切れないようにさせなければいけないらしい


おい、お前ら

この状況楽しんでないか?




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