私は男のようです。帝光編
□行き当たりばったり
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そっとシャーペンを置く
教室にある電波時計を見ればあと10分余裕があるな、と分かってても見直しはしない
今やっている算数というか数学というかは昔得意だったし、所詮計算というのは見直しても思い込みが邪魔して計算ミスに気づかない
まぁ、気づくときもあるが
何が言いたいかというとめんどくさい、だ
ちらりと周りを盗み見ると片岡くんが諦めたのか机に突っ伏していたり、山本くんなんかは意外にも真面目に見直してたり
一番後ろの席である俺からは皆のテスト状況が丸分かり
あ、中田くん苦戦してる?
でも後ろの席とはめんどくさいもので、解答用紙を集めなければならない
先生の終了の合図と同時に立ち上がりプリントを集めてく
「佐々木くん、」
「ちょ、ま、これだけっ、」
「佐々木、下手したら0点だぞ」
「うがぁああ」
そんな佐々木くんの解答用紙は書いては消しての後が残っていた、汚い
どうやら緊張で計算ミスというか2を3と間違えて書いたりと時間をくったらしい
ご愁傷様です
何はともあれテストはこれで終わり
「やべえ、俺終わった」
「俺も……」
中田くんや佐々木くん辺りが絶望状態だった
森くんが慰めてるが森くんは確かテスト中余裕の表情だった
テスト返ってきたときに裏切り者扱いされるぞ
「橙堂はどだった?」
「うーん、理科と社会がないだけましかなー」
「苦手なの?」
「……まあ、そんなとこ」
理科、はまだあってもいいが社会はダメだ
あれは生粋の暗記教科
昔高校で理系にいった自分は社会との縁がほぼ断ち切られた
だから覚えていないのだ
どの徳川さんが犬好きだったとか苺パンツと関連してるのは誰だったとか、虫食いのように部分的にしか記憶にない
しかも昔と今とでは地理も政治も微妙に違う
俺が昔住んでいたとこの地域名なんて今はない
この世界が昔の未来なのか過去なのか、はたまた昔と全く違う世界なのか
俺にも楓にも分からない
「そういや結果って全部張り出されるんだっけ?」
「うっわ、まじかよ
俺の醜態が曝される……」
「なんで昨日勉強しなかった俺」
さっきよりも凹んでいる中田くん佐々木くん
今時結果なんて掲示されるんだ
しかも今回は入学早々いきなりの実力テストということでないが、定期テストでは欠点者に補習が待っている
今だに落ち込んでいる組に同情した
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