私は男のようです。帝光編

□第一回男子会
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あれからモヤモヤしながらも無事に入学式は終わった
といっても校長の話なんて聞いてないけど

くっそー
涼太くん顔立ちも予想通り整って成長してたしそれも腹立つわー



「そんじゃお前ら明日のテスト頑張れよ」



しかも明日は実力テストがある
何故先月まで小学生だった俺達にテストがあるのか、納得がいかない
なんでも帝光中は文武両道の中学らしく、勉学にも部活にも力を入れてるらしい
こんなことなら和成と同じとこ行けばよかった



「おい、橙堂ー」

「……俺?」

「そうお前」



LHRも終わり、帰宅モードの教室に今だ残っている男子の塊
ガヤガヤ騒いでいると思ったら何故か呼ばれた
聞き間違えかと思って聞き返せばホントに俺を呼んでいた



「なに?」

「男子だけで遊びに行こーぜって話になってんだけど、どーする?」

「もちろん来るよな、な!」



入学早々フレンドリーなクラスメートたち
よかった、変な目で見られてない
ほっと安心したのもつかの間



「んで、今朝の修羅場詳しく聞かせろよ」

「てめーら本命はそっちか」



逃がさないとでも言うように肩に腕を乗せてきた、たしか中田くん
他の皆も好奇の目でこちらを見ていた

はぁ、とため息一つ
森くんだったかが声変わりのしていない可愛らしい声で幸せ逃げるよー、だって

俺の幸せはとっくの昔に逃げた


ズボンのポケットから携帯を取り出し電話帳のた行を開いて「橙堂楓」を選ぶ



「あ、もしもし
 お前今朝一人で逃げたの許してないから
 あと、クラスのやつと遊んでから帰る」



伝えたいことだけ言って電源ボタンを教えて一方的に切る
これぐらい楓が逃げたことに比べれば可愛らしいもんだろ



「なーなー、今の誰?」

「もしかして彼女?」

「んー、まぁそんなとこ?」

「絶対嘘だろ」



おおなんでわかった山本くん
誰だ誰だと盛り上がるやつと正反対の冷静な山本くん
こいつ勘が鋭いな、なんてちょっと驚いた
しかしそんな凄い人ではなかった見たいで



「俺らのクラスにリア充とか許さん」

「はい、迷言いただきましたー」

「え、この学校女子レベル高いから狙ってたのに」

「お前はまだまだだな
 その女子たちを目の保養にするんだろーが」

「おお、なるほど」



ただの阿呆だった
しかもそれに続くように皆が阿呆発言をしていく
この学校の女子がかわいそうになってきた
確かに目の保養には、まぁ、なるけど

とりあえずこいつらと楓は会わせないようにしようと思う



「とりあえず腹減ったしどっかいこーぜ」















「え、向こうの勘違いで告白ぅ?」

「確かにお前女顔だしな」

「女顔じゃないし、中性的なだけだし」



一緒だろうとゲラゲラ笑う片岡くん
人の気もしらないで

とりあえずファミレスに来た俺達は一番奥のテーブルを占領した
注文したものが届く間、今朝のことを愚痴った
片岡くんみたいに笑ったり、そんなことホントにあるんだなと驚いたり、皆の反応は様々だ



「てか、その涼太くん、だっけ?」

「そ、予想通り顔立ち整ってる涼太くん」

「あいつって黄瀬涼太だろ?」

「あー……そうなの?」

「そうだよ」



そう言えば俺は涼太くんのフルネームを知らない
だが森くんが自信満々に肯定した

そうか黄瀬って言うのか
初めて知った
てかなんで森くんは涼太くん知ってんだ?
同じ小学校出身?

何気ない質問をしたはずなのに森くんは驚愕の目でこちらを見ていた



「知らないの?入学早々女子がイケメンだーって騒いでたの」

「この1日で大体のやつは黄瀬んこと知っただろうな」

「イケメンうらやましー」



皆なにかしら知っているようで俺だけ置いてきぼりで涼太くんについて話していた



「え?え?なに?そんなのしんねーよ
誰の噂だよ、イケメン?」

「だからお前に告白した黄瀬涼太だよ」

「……まじかよ」



嘘だと言って欲しかったのにその願いは虚しく消えていった

モデル並みのイケメンが同学年にいる、と入学早々主に女子の間で噂になっているらしい
確かに綺麗な顔立ちをしていたが、そんな人に勘違いとはいえ告白された俺
しかもクラスの大半に見られた告白現場



「明日テストもあるってのに……学校行きたくねー」

「大丈夫だって俺達がいるんだからさ!」



てめーらただ面白がってるだけだろ
そう言えば皆笑顔で頷いた
こんな一致団結いらない




 

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