私は男のようです。相棒編

□お菓子の妖精と紫の出会い
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「ね、お祭り行こう!」

「は?祭り?」



またまた和成のキラキラした目が俺を映している

そういえば毎年近くで祭りしてたな
いつあるのか把握していないから発見したら参加する程度だった
学校の友達とは満遍なく接しているお陰で誘いがきたことがない

そういえば楓は女の子友達と行ってたっけ?
共通しない友好関係はお互いあまり知らない



「楓は今年も友達と行くのか?」

「うん、誘われてる」

「ほら!紅葉ちゃんも俺と行こう!」



拒否する理由もなかったので、結局行くことになりました













「わ、金魚!」

「輪投げ!」

「あ、ヨーヨー!」


「ちょ、和成ペース早い……」



俺が知ってる祭りと違う

祭りってゆっくりじっくり見ていくものじゃないのか?
いや、そういえば相手は小学生
俺も小学生

はしゃがない方が可笑しいのか


でも、この人混みの中
いい加減見失いそうだ



「っわ、……お前、急に止まんなって」



止まってほしいとは思ったが、急に止まるのもどうかと思う
歩くスピードを速めていたから、そのまま和成に突進しそうだった

当の本人はある屋台に釘付けで、なんの返事もない



「和成?」

「紅葉!俺、これやりたい!」

「これって……射的?」



和成が指差した先にはひな壇状に商品を並べた屋台
商品の手前にはコルクとエアライフル
エアライフルは結構な大きさで、小学生じゃ難しいのではないだろうか

しかも一回300円
小学生には厳し過ぎる



「おっちゃん一回」

「え、まじですんの?」



男子高校生がしているのをぼんやりと見ていると、いつの間にか和成がお金を払っていた

高校生の人達は全てのコルクを撃ち終わったようで、手には可愛らしい兎のぬいぐるみ
渋い顔をしているところからして、たまたま当たったようだ



「何狙うつもり?」

「お菓子詰め合わせ」

「……へー、がんばれ」



300円でお菓子詰め合わせって駄菓子屋行った方が早くないか?、とは子どもの夢を壊してしまいそうなので言わない
あぁ、でもコルクは5個
百発百中なら元が取れるかもしれない


だが、現実は上手くいかなくて



「あっれー?おっちゃん全然取れないじゃん」



300円損した

5発のうち2発ぐらい商品に当たったようだが、倒れはしなかった
そのことに納得がいかないのか和成はおっちゃんに言う
おっちゃんは豪快に笑ってテクニックがなってないだのなんだの言って

ていうかいつの間におっちゃんと仲良くなったんだ和成



「ちぇー、せっかく紅葉ちゃんと半分ずつしようと思ったのに」

「え?」



まさかそんなことが理由だと思わなくて、凄く残念そうな顔をしているのがいたたまれなくて、そんなこと、


そんなこと言われたら



「よし、俺もやる」



やるしかないじゃん


おっちゃんに100円を三枚渡して、エアライフルにコルクを詰める
和成が紅葉ちゃんお願い、なんて後ろで言う

取ってやろうじゃないか、お菓子詰め合わせ5袋
やるんだったら元は取らないとね



「(和成がこんぐらいの角度で撃ってかすったから……)」



パンッと軽快な音がして、後ろの和成の喜びの声
狙っていたお菓子は倒れたようだ

おお、ホントに当たったのか
ぶっちゃけ駄目元でやっていたので、びっくりだ


5発とも見事命中し、おっちゃんは半泣きで俺達にお菓子詰め合わせ5袋をくれた

おっちゃん、ごめん
楽しすぎて限度考えてなかった




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