Real Doll 〜人形の夢と目覚め

□第5話『侵蝕』
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走っていた。
どこかわからない、暗い場所を。

疲れて足を止める。


《何だ、もう走れないの?》


嘲笑うような声。
口調は全く違うが、あれから頭に響く声と同じ人物のもののようだ。


「お前は誰だ?」
《樹理。樹木が貪欲に水を求めるように、私は血を求める。それは「理」────だから、『樹理』》


樹理、というその女の姿は見えない。
しかし、その気配は確かにある。


《アタシを探してるの?どこにいるか教えてあげようか?》
「……!?」


首が勝手に動いた。


《でも実はアタシただの人格だから実体ないんだよね。
まぁ、これでいるのはわかったでしょ?》


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