Real Doll 〜人形の夢と目覚め

□第1話『標的』
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「瞳…大丈夫だった?」
6時間目の体育を抜け出して、教室に戻った。
昼休みからずっと、棚に閉じ込められていた瞳を助け出すために。
紐でキツく縛られていたために、手首と足首に痣が残っている。
「…昴…こんなことしていいの?」
「どうして?」
「昴もいじめられるかもしれないじゃない…」
「でも、祐介いるし」
「…ありがとう」
「大切な幼馴染を助けるのは当然だよ。本当は止めなきゃいけなかったんだ…」

瞳は淡く微笑む。
全てを赦す聖母のように。

「ありがと、昴。じゃあ私帰るね…バレない内に」
「うん。そうした方がいいよ」
「昴。私を開放したって言っちゃ駄目だよ?いい?」

悪いけど、言うよ。

言わなかったら、僕は自分を許せないだろう。

標的になるより、最悪な人間になる方が嫌だ。
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