夢。

□strand...
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「むーすーんでーひーらーいーて、
手ーをー切ってーむーすんでー」

「手を切る!?」

人の髪をいじりながら歌う彼女の歌に耳を傾けていたら、突然聞こえた物騒な単語に思わずばっと振り向きツッコミを入れると額を小突かれた。


「今髪の毛いじってるの。動かないでよ」


口を尖らせ、僕を非難がましく彼女は僕を睨む。


「ていうか、何でいじってるんですか、僕の髪の毛を」

「楽しいからー」

「…」


ああ、
そうですよね。
彼女の行動に、理由なんてない。


任務で疲れた体を癒したい、が彼女はなかなか僕を自由にはしてくれない


髪の毛が、科学班の薬によって伸びて一週間。
時間がたてば戻るらしいがまだ、戻る気配はない。


リーバー班長から言わせれば、この薬の持続時間は個人差があるらしい。


リナリーやラビには似合ってる、と言われたし、悪い気はしないのだけど


邪魔な髪を一つに束ねていたら真似するな、だとか神田にまた意味のわからない喧嘩を売られた。


これもすべて
怪しげな薬を放置していた科学班の所為だ、と次々と浮かぶ面々を思い出す。





「――んじゃった、」
「え?」


「…お母さん、死んじゃったの。この前、」


小さな小さな彼女は、
僕の髪をいじるのをやめ、
ぽつりぽつりと話しだす。

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