「ねぇ、ここの家は客人にお茶も出さないわけ?」
子供だと思って手抜いてるの?とかぶつぶつと小言攻撃を浴びせてくる黒髪の幼子は雲雀恭弥くん。なんだかよくわからないけどちっちゃくなっちゃったからよろしく、ってついさっきリボーンくんに押しつけられた。
「ちょっと。聞いてるの?」
「あ、ごめんごめん。お茶出すから手洗おっか」
外見はかなーり凛々しくかわいい子供なんだけど、中身が超生意気というかマセてるというか…
洗面所はどこ?って訪ねるから案内しようとすれば「説明してくれれば1人で行ける」って突っぱねてくるし。全くもう。
仕方がないからご希望通りお茶を用意しとこう。お茶請けも出しておかないとまた小言言われそうだな。てゆーかお茶って緑茶?紅茶?でも子供ならオレンジジュースとかのがいいかな、なんて迷っていたら洗面所から呼ぶ声がした。
どうしたんだろ?ぱたぱたとかけつけてみれば、
「ばかにしてるの?」
「え、何が?」
第一声が何でそうなる?思い当たる節も無く、ただ恭弥くんを見つめていたら逸らされた。
「…‥届かないんだけど」
「…………‥‥あぁ!」
そうか、洗面台に届かなかったのか。なるほど、と納得して恭弥くんを後ろから抱きかかえた。
「…‥ち、ちょっと!」
「ん?ごめ、早めに手洗ってくれるかな、」
ちょっと思ったより重くて、と言えば暴れかけた恭弥くんは意外とすんなり従ってくれた。
なんだ、素直なとこもあるじゃないか。ふと洗面台の鏡を見やれば、そこにはふてくされた顔をして頬を赤くした子供がいた。
かーわいい!
(ね、お茶とオレンジジュース)
(だったらどっちがい?)
(…‥オレンジ。)