L'Imperatrice

□〜having fun〜
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「「Vincitore , Devito!!」」



野次馬がどよめく中、カジノに勝った張本人は、


お高く止まることもなく、特に嬉しそうな身振りを表すこともなく、


いつも通りポケットに手を突っ込んでは余裕ぶった笑みを浮かべていた


そして、今まであちらこちらのレディー達に向けられていた視線が、


瞬間的に私の方へと向いてきた




私は何よ…、と言わんばかりに彼を睨みつけたが、

彼の顔にはあの毎日のように見る危ない笑み



良い加減飽きたわ、とでも言ってやろうとおもったが、急にぶるるっと自分の身に危険を感じたので、


やっぱり辞めておいた





「なんだァ、ヴォーチェ…、他の女に構ってたオレに嫉妬か……?」



徐々に近づいてくる彼の顔に思わず顔を歪めてしまう



ああ、またこの人は甘い言葉を吐いては色んな女の人を溺れさせてしまうのだろうなーーと思って



「私が貴方に嫉妬なんかすると思うのかしら?」



こっちも負けじとふふっと笑っては強く強く彼を見つめた







でも……


「……オイオイ、そんなに見つめられちまったらオレの黒を見抜かれちまいそうだァ、」



眼帯がついていない方の片目を手で覆い隠しては、顔を背けるデビト




「え?」



もちろん、私はその意味を理解する事もできず、首を傾げるのだった



そんな私の反応を楽しむかの様にして、デビトは手慣れた手つきで私の顎をくいっと持ち上げる



「純白はそのまま真っ新でいナ…、オレみたく黒にはゼッテェ染まんじゃねェゾ?」




まるで忠告するかの様にして、私の瞳を見つめてきた



その時の彼の目といったら、どこか泣きそうで、悲しそうで、でも人に自分の心を見せまいと必至に頑張ってる



少しズバッと言ってしまうと、哀れだった








「さァて、じゃアパーチェの言ってたドルチェの店にでも行くとするカァ、」




そして、さっきのあれはまるで嘘だったかのように、腕を後ろに組んではふぁ、と欠伸をする



「うん……」



なんだか、私とデビトは似ているのかもしれない




黒を隠そうと惨めながらも努力している所が




“オレみたくゼッテェに黒には染まんじャネェゾ?”






デビト、

もう遅いよ、

私はもうとっくに……





闇の世界へと入り込んでしまっているのだからーーー
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