L'Imperatrice

□〜*The very first step*〜
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「ん……っ、」




剣の幹部長室



別名私の落ち着き部屋



…………それも、シエスタをしている時だけ……



机の上にどっさりと乗っかっている書類や指令書を見るやいなや、



そう思った




「今日は徹夜、か……」



明日は巡回や交渉事などでハードなスケジュールがガッツリと入っている日




私にお知らせもせずにこんなにもの量の書類を机に置いてあるということは、




急いでくれ、という事だろう



大きく背伸びをしながら、



ゆっくりと自分の体をほぐしながら、うんざりした顔付きで机に向かう



今日は本当に疲れたーーーなんて事を考えなら








そして、




座ると同時に目に入ってきた自分の机の真横にある紙袋に目をやって、




一つはぁ、とため息を吐く



色々買っちゃったな、って




自分がいかにも昼間馬鹿買いをしていたのに、ようやく気付いた



ああ、またフェルに迷惑かけちゃったな……とも我に返って思った












フェルが小さかった頃は、私が面倒を見ていたのに、




気付けば自分とたいして身長が変わらなくなって、



自分よりも大人になっていた




「怖いな……」



そんな感覚に、私は寂しい、というよりも、



怖いという感覚を覚えた



何故だろう、




ダンテやパーパ、ルカだって怖いとは言っていない




むしろ、寂しいと思っている反面に、嬉しいとも言っていた




これは、男と女の違いなのかな?




それとも、ただ単に私が可笑しいだけなのかな?









「………眠い……」



そう呟いた丁度その時だった



バンッという音と共に、ドアを開けて入ってきたのは、



顔が青ざめてもう今にも倒れてしまいそうな様子でこっちを見てくるパーチェだったのだ




「ヴォーチェ……」



そう、もうそれは幽霊といっても過言では無いくらいに……



「ぱ、パーチェ?!」



いつも元気でハイテンション、



そんな彼がこんなにものげんなりしているのだから、



心配するに決まっている




体調でも悪いのか……とか



でも、そんな事を心配していた自分が馬鹿だった



「る、ルカちゃんが今日館に来て作ってくれたジャンドゥーヤ……もう無いの……?」



「えっ?」



なんと、彼はお腹が空いたというたかがそれだけの理由のために、



私の部屋まで来て、そんな青ざめた顔をしながらもそれを訴えに来たそうだ……



「それだけ、じゃないよ……もう俺、腹が減って力が出ない……」



お腹をきゅるきゅると鳴らしながらそういうパーチェは、



もう大型犬そのものだった



それが可愛くて、ついついクスッと笑みが零れてしまう




「今ドルチェなんか食べたら、夕飯が食べれなくなっちゃうよ……?」



まあ、パーチェに限って夕飯が食べれない、なんて事はないか、



ふと時計を見てみると、もう夜の7:00を指していた



そろそろ私もお腹が空いて来た所だし………


ふっとパーチェに笑いかけて、こう言った



「行く?ご飯……」





その言葉を聞いたパーチェの顔と言ったら、



これ以上あるのか、と思うぐらいの円満の笑みだった




「ありがとう、ヴォーチェ〜!!」



少しうる目になりながら、そう言って来た




本当にわんちゃん見たい……



その時私がふふっと笑みを浮かべた事、パーチェには気づかれなかった見たい……
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