L'Imperatrice

□〜having fun〜
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「で、私がここで何をしろと……」



私がデビトに連れて来られたのは、



案の定彼が経営しているカジノだった






貴族や成金、頭を抱えている人や喜びに満ちている人、




実に様々な人がいた





「デビト、私こういうのには向いてなくて…」





慌ててその場から逃げたそうとする自分





「オイオイ、ドンナには楽しんでもらう為に来てもらったんだゼ?」




私の腕をガッチリと握っては、怪しげな笑みを浮かべてくる




そして、耳元でこんなことを囁いて来た





「バンビーナと違って、ヴォーチェは立派なドンナなんだからナァ」




少しくすぐったくて恥ずかしい…



「、ドンナは鈍感だなァ……」




暫らく気難しい顔をしていると、私がデビトに今言われた意味が分かっていない事がばれてしまったようで、



そう言われてしまった




「……別に、鈍感なんかじゃ……!」




しかし、否定しようとするものの、デビトに言われた意味が分からなかったのは事実





思わず口をつぐんでしまった





「マァ、ドンナはドンナでも、まだ一人前とは言えねェナァ、」




クックッと喉で笑って、また私をからかってくる





「えっ……?」



それはどういう意味、といぶかしげな顔でそう彼に問い詰めてみるが、





「自分で考えるんダナァ、ドンナイネスペルタ、」




「なっ……!」





ポンっと片手を私の頭に置かれ、
ニヤリと彼に笑われた





「い、イネスペルタって何よ!」




そもそも私はデビトより年上





それなのにイネスペルタとは可笑しいじゃない!




そう想いに沈んでいた































「え?」



いない、



ふと隣を見ると、そこにはもうデビトの姿が無かった





「デビト?」




呼びかけても返事は無かった




しかし、その代わりに……




「オイヴォーチェ、見てなァ、オレが華麗に勝つその瞬間をなァ!!」




彼の高らかな声がカジノに響き渡った




その時私は確信した




自信家なのはいいが、限度が過ぎるとそれはそれで駄目なのだと






でも、私の口から漏れてきたのは、



ため息でも、呆れ声でもなく……




微かに見える、小さい笑みだった
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