L'Imperatrice

□〜A Bad Dream〜
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大きく広がった薔薇道




奥へ奥へと行くと同時に、辺りは闇に包まれていく………




“ママ……?”




暗くてジメジメとした空間に凛と響いたその声は、





暗闇の威圧感にまた、飲み込まれていく





“怖いよ……、ママぁ……、”





そんなか細い声の持ち主は、まだ5歳もいっていないと推定できる、





可愛らしい少女だった






ーー誰……?ーー




自分の夢に知らない人が出てくるなど、私にとってはまれに無いので、




不思議に思った





貴方は誰、





どこから来たの?





お母さんは?












その子に向けて手を伸ばす




助けてあげたい、





いや、助けなければならなかった





何故だかそんな気がしたのだった









ーーあとちょっと……ーー




と、思ったその時、






















「え……?」




パッと私の前に現れたのは、私が今まで大事に大事に保管しておいた、





アルバムだった






さっきまでとは違って、





周りは薔薇道などなにも無い、ただただ白く真っ新で、





なんにも無い空間に変わっていたのだ





「何……?」




何だか、嫌な予感がする




そう感じた私は、素早くそのアルバムを手に取って逃げようと考えた




しかし、そのアルバムに指が触れたその瞬間……





「っ………!」




なんと、いきなり綺麗な青い光を放ちはじめたのだ





一瞬幽霊でもいるのか、と思った




しかし、よくよく考えてみると、重要な事に気づいたのだ




これは夢




別に、現実にこれが起こるわけではない……





だから、そこまで慌てなくても大丈夫……





と思っていた




なのに、一旦平常心に自分が戻ったと思えば、




アルバムがいきなり開いて、私の大事な宝物……




である写真がひらひらとどこかへ飛んでいく





「だ、駄目……!」




その写真は、さっきと同じ、黒い闇の様な物の中へと滑り込んでは、一枚ずつ消えていったのだった




「待って……!」






駄目、あれは私の大事な大事な宝物





誰にも渡さない……




例の“黒い闇”にかけて行き、





私は急いでその中を覗き込んだ





でも、そこには…………





「きゃあああああ………!!!」
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